2015年6月30日火曜日

矢野七三郎の銅像


皆さん、こんにちは。

突然ですが、今治市と聞いて皆さんは何を思い浮かべますでしょうか?焼き鳥・造船、そして最近ではB級グルメとして認定されてきた焼き豚卵飯…色々ありますが、やはりタオルを思い浮かべる方がかなり多いのではないでしょうか。

もともと今治は江戸時代から綿花の栽培が盛んであり、これが明治時代以降に近代的な綿業に発展し、今治の主力産業になった経緯があります。
今治のタオル産業はこの綿業の延長線上に誕生したものですが、実は今治城内には今治綿業の発展に尽くした人物の銅像が立っています。それが、この方…





矢野七三郎という人です。
矢野は明治時代の人で、興業舎という会社を立ち上げて綿ネルの生産を開始します。
この綿ネルは非常に品質が良く、軍隊に納入したり、或は海外に輸出される等、今治における綿業は明治時代以降に大幅な発展を遂げました。

この銅像は綿業発展に尽くした矢野の功績を称えるため1911年(明治44年)に地元有志によって建立されたものです。残念ながら銅像本体は太平洋戦争中の金属回収によって、撤去されているため、現在見られるのは戦後新たに再建されたものになります。しかし、台座は建立当時のままなので、なんと今年で築104年!

今治の綿業の移りかわりを、そして今治の明治・大正・昭和・平成を見守ってきた生き証人とも言えるでしょう。

このように今治にとって貴重で大切な銅像は二之丸御金櫓のすぐ近くに立っています。天守を出て御金櫓に向かう際には、ぜひ足を止めてご覧になってください。



銅像本体。凛々しい顔をしています。


銅像を北側から見る。奥が御金櫓。



学芸員 伊津見