2020年5月26日火曜日

今治城の古写真が 男の隠れ家別冊『日本の名城を訪ねて』に掲載されました。


こんにちは。


二十四節気のひとつ、小満のころを迎えました。






麦の穂がふくらんで、いよいよ収穫のときです。麦だけでなく、草木がぐんぐん成長する季節。山は新緑から万緑(バンリョク)へと移り変わっていきます。
※万緑とは、新緑のみずみずしい緑よりも強い、真夏の深い緑のこと。


自然界は光と生命力に満ちあふれていますが、多くの人々がテレビやラジオの厳しいニュースに胸を痛めていらっしゃるのではないかと思います。

落ち込みそうになる気持ちを自ら引き上げようとしているのか、米検索大手グーグルでは「明るいニュース」の検索件数が今年に入って5倍増だそうです。


今治城の明るいニュースといいますと、お城の古写真が男の隠れ家別冊『日本の名城を訪ねて』という雑誌に掲載されたことでしょうか。









今治城の櫓の一部は、古写真を参考にして再建されました。

撮影したのは、今治藩の医師でありながら国学、歌学、蘭学といった多様なジャンルの学問に通じている半井梧菴(なからいごあん)です。

半井梧菴のことは、昨年の4月に開催された今治城企画展「刊行150周年記念 半井梧菴と『愛媛面影』」で紹介させていただきました。






今治城に限らず古写真から空襲や焼失、解体などで失われた当時の城の姿を感じることができます。今ある城の様子と古写真をくらべて、城がたどってきた日々を想像するのも楽しいかもしれません。



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2020年5月19日火曜日

3月のことですが、お城の堀にウニがいました。


こんにちは。


新緑を眺めているとなぜか「目には青葉 山ホトトギス 初鰹」のフレーズがうかびます。何だろう?と調べてみますと、江戸中期の俳人が江戸の人々が好むものを俳句に詠んだものでした。

昨年までの5月は絶好の行楽シーズン。
城の駐車場も、バスと自家用車で満車状態でした。

今年は自粛生活の呼びかけに応じて、とても静かです。


東京都のホームページより



今、ネット上では「家にいる人たちに楽しんでもらおう」と、ツイッターやYouTubeなどで、いろいろな分野の人々が発信し続けています。

その中に、のびのび過ごす動物たちの画像や動画を発信している動物園や水族館があります。始めたのは京都水族館で、海遊館など近畿の動物園や水族館に賛同を得たあと全国に広がり、今にいたっているそうです。


3月のことなのですが、今治城の堀にウニがいたことを紹介させてください。


職員Ḿが昼休みに堀沿いの道を歩いていると、顔見知りのご近所さんが「堀にウニがおるけど、知っとる?」とウニがいる場所を教えてくださったそうです。

石垣にひっついているウニ、見えますか。









お城の堀は海の潮水が出入りしているので、ウニも潮水と一緒に入ってきたのでしょう。





四国各県のミュージアムも所蔵資料などを「おうちで四国のミュージアム」で紹介しています。


今治市大島にある村上海賊ミュージアムのホームページの
スタッフブログに

おうちで村上海賊“Murakami KAIZOKU」と題して、興味深い話題を提供しています。こちらもあわせてご覧ください。


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2020年5月16日土曜日

臨時休館中(4月21日~5月12日)の職員たち


こんにちは。


こないだまでは日差しが夏のようでしたが、今日は久しぶりに本格的な雨が降っています。みなさま、いかがお過ごしですか。


今治城は5月12日(火)から下記のことに協力いただきながら再開しております。






自粛生活はキュウクツで息が詰まることも多々ありますが、(できる限りの感染症予防対策をして)体を動かしたり、季節の野菜や果物を食べたりして、少しでも体や気持ちが楽になれたらいいですね。


高知では初夏をつげるくだもの〈小夏〉が旬を迎えました。愛媛でニューサマーオレンジ、九州では日向夏と呼ばれています。






限られた期間・特定の地域でしか食べられない果物をいただくと、味と香りで季節を実感できます。

お城の井戸跡近くに八朔(はっさく)の木があり、白い花を咲かせています。









八朔の旬は温州ミカンと夏みかんの中間の時期。最近は、皮が剥(む)きやすく甘い🍊柑橘類が開発されていますが、昔ながらの皮が厚くほろ苦い八朔がでまわると、愛媛はもうすぐ春だなぁ~と思うころです。


さて臨時休館していた21日間、今できること・今しかできないことをしようと、職員みんなで小さなことからコツコツとこなして参りました。

普段から担当している仕事の他にしたことは、入館者が天守を観覧中にはできない場所の大掛かりな整理・整頓・掃除でした。

ほんの一部を紹介させてください。































掃除は、お坊さんにとって大事な修行のひとつ。一休さんもお寺の境内を掃除してましたね。体を動かして環境を調えることで、思い通りにならないココロも調えることができるようになるそうです。

我々も、そうなれたら嬉しいです。


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2020年5月12日火曜日

天守4階の展示替えをしました。(学芸員の仕事 ➃)


こんにちは。


長引く自粛生活を、いかがお過ごしですか。

外出をひかえながらも、必要最小限の外出のときは、みなさんそれぞれに工夫をしたマスクをして注意深く用心しながら出かけられているのではないでしょうか。

100年前にスペイン風邪が流行した当時、感染予防を呼びかけるポスターが作られました。〔国立保健医療科学院図書館所蔵、内務省衛生局編「流行性感冒」1922・3〕





「汽車電車人の中ではマスクせよ。外出の後はウガヒ忘れるな」と書かれています。


布マスクの着用を一般に広めることに力を尽くしたのは、医学者・松本良順(後に順と改名)でした。戦後しばらくして布マスクはガーゼマスクになり、1970年代には不燃布マスクが登場。その後も進化し続けています。
※松本順のドラマチックな人生は、司馬遼太郎の小説『胡蝶の夢』に詳しく書かれ、ドラマ『JIN 仁 』では主人公に協力的な医師として描かれています。


さて、臨時休館している間に天守4階の展示替えをしたので、そのようすを伝えさせて下さい。

まずは、前の展示物を運び出し、空になった展示ケースの中を掃除。仕上げは粘着クリーナー(通称コロコロ)で。






次に、新しく展示する掛け軸を収蔵庫から運び出しました。





展示替えに必要な小道具も、運びます。




武具を置き、角度やバランスを見ます。




掛軸は、左右対称になってるか、上下は水平になっているか、注意しながら展示。










作品の説明文を、学芸員が時間をかけて考えます。






観覧者が展示物を鑑賞する手助けになるように、説明文は読みやすく、わかりやすい表現を心がけます。そして、より深く理解できるように、専門的なことも少し。

推敲(すいこう)した説明文を置く位置や角度は、いろいろ試して決めます。






展示ケースの中からみると、こんなふう。





今治城に限らず、すべての博物館や美術館の学芸員は、所蔵物を大切に保管し、知恵を絞り試行錯誤して展示しています。

そのような施設に訪問されたときに、学芸員の仕事を想像しながら観覧されるのもいいかもしれません。



A


2020年5月9日土曜日

今治城のライトアップの時間帯が変更になりました。


こんにちは。


今日は天守の隣にある吹揚神社で祭典が行われました。

今年は、毎年恒例のおみこし渡御(トギョ=出かけていくこと)・獅子舞・お餅まきはせずに、祭典だけ一部関係者のみ参列で行われました。










昨年の賑やかなお祭りのようすは、2019年5月12日のブログ〈バリィさんの一日城主を報告します。〉にあります。よろしければご覧ください。


祭典のあと、寿太鼓の演奏がありました。






和太鼓のリズムと響きは、血わき肉おどるようなエネルギーがあり、自粛生活でウツウツしていた気分を吹き飛ばしてくれました。

お腹の底に響く和太鼓の音の振動を、感染症治療の最前線で働いてくださっている医療従事者のみなさまに届けたい!と思うくらいパワフルでした。


今、世界中でたくさんの建造物や施設がブルーにライトアップされています。

ブルーの光で、感染症治療に対応する医療従事者や介護・福祉の現場で働く方々に、感謝と敬意の気持ちを表しているそうです。
※ブルーライトアップはイギリスで始まったもので、イギリスの国営医療サービスであるNHS(National Health Service)のシンボルカラーがブルーであることにちなんでいるそうです。


今治城を照らすライトはブルーではありませんが、命を危険にさらしながら働いてくださっている医療従事者に対する感謝と尊敬の気持ちは、同じです。


この今治城のライトアップ、時間帯が変更になり一時間短くなりました。日没後30分~夜10時までの間、毎日お城を照らしています。





堀の水面にうつる今治城は幻想的でロマンチック。月夜の晩はなおさらで、ライトアップの光とお月さまの光のコラボレーションを観ることができます。






感染症が終息し、お気持ちに余裕がでたころ、今治城がライトアップされていることを思い出していただけると嬉しいです。



2020年5月5日火曜日

今治城の【御城印】が単行本に掲載されました。


こんにちは。


今日は子供の日、端午の節句。



二十四節気でいうところの「立夏」となりました。

今年は外出を控えているせいかゴールデンウイークといわれてもピンときませんが、GWの終わり頃に巡ってくる立夏。昨年までは、連休疲れでぐったり過ごした人もいらしたのではないでしょうか。


文字通り〈夏が立つ〉とき。夏というにはまだ早い気もしますが、ここ数年、このころから気温が上がり夏のような雰囲気になるように思います。立春・立夏・立秋・立冬のなかで、感覚的に一番ぴったりくるのが、立夏かもしれません。

天地に緑が満ち始め、カエルやミミズも活動を始めます。



『ひかりの暦』小学館発行 文・石田ゆかり 絵・松尾たいこ




さて先日、宝島社から、日本全国の【御城印】を集めた本を出版したいので今治城の御城印のデータをいただけませんか?との電話がありました。このような問い合わせは2回目です。


前回 ☎ 問い合わせがあった英和出版社から、単行本『全国御城印図録』が出版されました。






130ページ上段に今治城の御城印が掲載されています。







御城印の日付は、観覧者にお渡しするときに職員が心を込めて書いております。裏には〈伊予今治城〉の字体の説明があります。




こちらが、その古城絵図。
右上にある字体をいただきました。





今治城が、もっとも正確に描かれた古城絵図は、図録『平成30年度 今治城特別展 よみがえる瀬戸内の名城 今治城絵図・古写真展 』の表紙にある絵図です。





詳しくは、2019年2月2日のブログ【展示案内】もっとも正確に描かれた今治城の絵図ご覧ください。学芸員が、わかりやすく説明しています。https://imabarijo.blogspot.com/2019/02/





2020年5月2日土曜日

今治城の美観を支える人たち。(春・犬走の草刈り)と(冬・石垣の草刈り)


こんにちは。

夏も近づく八十八夜 ~ ♪ になりました。
みなさま、いかがお過ごしですか。

夏はまだまだ先のように思いますが、3日後の5月5日が二十四節気の【立夏】だというのを知ると、なるほど…ということになります。

外出を控えている方々に、お城のツツジを写真でお届けします。














さて、毎年この時期に越智今治森林組合の方が、犬走りの草刈りをしてくださいます。今日は、その様子をお伝えさせてください。

犬走り(石垣の周りにある細長い平地)は、地盤を強化するために設けられたと考えられています。

いつもは鍵がかかって入れない犬走り。入口付近はこんなふうになっています。





堀底から真水が湧いているところがあり、淡水魚のメダカもいます。いろいろな生き物がいる、とても珍しい堀です。

今治城の堀は海につながっているので、潮の満ち引きで水位が変わります。大潮で満潮のときは犬走りの上まで海水が来るので、犬走りは見えなくなります。
※ 淡水と海水が入り混じっている所を汽水域(きすいいき)というそうです。


では、今日の草刈りポイントまで進みましょう。










草が生い茂った中にある石に刃があたると危険なので、注意しながら作業をします。






作業の様子を石垣の上から撮影しようと、犬走りを歩いていると水の音が。鳥です。









石垣の上に来ました。下を覗くと、ぞぞっとします。









せっかくですので、昨年の冬に石垣の植物を刈り取ってくださった様子もお伝えさせてください。危険な作業なので特別な講習を受けているそうです。

櫓の柱にロープを固定し、下の犬走りで待機している仲間にロープの端を投げます。途中の木の枝に引っかかったりして、なかなか犬走りまで届きません。






犬走りにロープが届きました。

石垣の高さは9m~13mあるので、上から覗き込むと足がすくみます。みなさんは慣れたようすで冗談を言い合いながらテキパキと石垣を登る準備をされてました。






レンジャー部隊のようにロープ一本を頼りに石垣を移動します。その様子は、一昨年2018年12月21日のブログ今年も石垣の草木の刈り取りが行われました。をご覧ください。
https://imabarijo.blogspot.com/2018/
















越智今治森林組合のみなさま、ありがとうございました。
再び開館する日が待ち遠しいです。