天候に恵まれた先週の三連休でしたが、皆様はいかが過ごされましたでしょうか。
中には国内各地に旅行で出かけた方も多いかと思います。
今治城も多くのお客様にお越し頂いたおかげで、非常に賑わっておりました。
さて、そんな賑わった三連休の今治城ですが、現在山里櫓にて開催中の特別展「今治藩の家臣団」に関連して、11月3日(金)に今治藩主久松松平家の末裔で次期当主(15代目)に当たる久松定順さんが来今され、学芸員の案内で久松家ゆかりの地を訪問されたり、かつての家臣の末裔の方達と再会するという感慨深い出来事がありました。
まず最初に訪れたのが、今治市山方町にある臨済宗妙心寺派の海禅寺さんです。
ここは、初代藩主松平定房の位牌を祀っており、その関係で江戸時代は藩主の菩提寺である松源院(現在は廃寺)と並ぶ格式を誇ったお寺です。
久松家からするとまさにご先祖様を祀っているお寺ですので、今回その関係者として久方振りに正式訪問され、初代定房公の位牌にお参りされました。
なお、今回の特別展では海禅寺さんからも所蔵されている今治藩家臣の池内家文書の一部を出陳して頂いています。
最後の藩主松平勝吉公が揮毫した「海禅寺」の額の拓本をバックに記念撮影。
左が久松さん。右が海禅寺の薬師寺住職。
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今治藩家臣の末裔である鈴木さんご一家と記念撮影 |
江戸時代、藩主が家臣の家を訪問する事を歴史的用語で「御成」と言いますが、この日の鈴木さん宅訪問はまさに現代の「御成」だったと言えるでしょう。
(実際に江戸時代、今治藩主が家老の家を訪問した記録は『今治拾遺』にもよく見られます。)
お互い初対面であったにも関わらず、学芸員も交えて今治城の天守が再建された頃の話等で大いに盛り上がり、最後は打ち解けられていたのが印象的でした。
一方、この日の午後には同じく今回の特別展で幕末期の当主の写真等、いくつかの史料を出陳して頂いた今治藩家臣の末裔である堀洋一さんとそのご家族が特別展の見学のため、遠く千葉県からお越しになられました。
事前に学芸員から堀さんに久松さんも当日来今されるという事を伝えていましたので、久松さんと堀さんもお互いの先祖ゆかりの地である今治城にて対面を果たされました。
もしかしたらこの両者の対面は、1871(明治4)年の廃藩置県以来になるかもしれません…
この後、久松さんと堀さんご一家は特別展の会場である山里櫓に移動されましたが、旧藩主と旧家臣それぞれの末裔が一緒に展示を見学するというのはこれまで見られなかった光景だと思います。展示解説をした学芸員である私も何か不思議な感じがしました。
学芸員の解説を聞きながら展示を見学される堀さんご一家と久松さん。 |
会場の山里櫓にて新聞社の取材を受ける久松さん(左)と
堀さん(右)
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最後は会場の前で記念撮影をしました。 |
今治藩の家臣団は、その多くが今治の外から集まって来た武士達で構成されており、藩主と家臣という君臣関係がここ今治を舞台に230年間続いてきました。
明治の廃藩置県によって旧藩主は明治政府の命令で東京へ移住する一方、旧家臣達の多くは県外に転出する等四散していき、今治藩の家臣団は歴史の彼方に消えていきます。
しかし、それから146年という時を経て、今治城で今治藩の家臣団をテーマとした特別展を開催した事により、先月の講演会や今回のように藩主と家臣それぞれの末裔同士の対面が実現出来たのは、非常に喜ばしい事と思います。
この日は久松さんをはじめ家臣の末裔の方々も縁の不思議さを実感されたのではないでしょうか。
最後にこの企画の実現にご協力頂きました家臣の末裔の方々等、関係者の皆様には厚く御礼申し上げます。
学芸員 伊津見