こんにちは。
今治城の天守の2階展示室には、江戸時代の甲冑を並べて展示しています。
現在は、総勢18領です。
※領(りょう)は甲冑を数える単位です。
これほどの数の甲冑を一ヶ所に展示しているところは、全国のお城でもほとんど無いようです。
一つだけでもカッコ良いですが、並んだ状態で見ると、なお壮観です。
一言で甲冑といっても、いくつかのタイプがあります。
時代によってタイプが変わることが多いのですが、今治城に展示している甲冑は「当世具足(とうせいぐそく)」というもので、江戸時代より少し前の戦国時代から登場した甲冑です。
当世具足については、甲冑の横にパネルを置いて解説しています。
ところで、展示している甲冑は、黒系が多いと思いませんか?
これは、ここの展示に限らず、甲冑全般に当てはまることではないかと思います。
また、朱色(赤系)の甲冑もたまに見かけます。
その理由は、当時の甲冑の塗料と素材によると思われます。
主な甲冑の素材は鉄と革がありますが、その塗料として使われているのは主に漆(うるし)です。漆の色は黒が主流で、次いで朱がポピュラーになっています。
また、鉄の地の色は基本ダーク系なので、そのままでも暗い色になります。
このような素材・塗料による理由とは別に、黒は威圧感を与える色彩なので好まれたのかもしれません。
黒い甲冑は強そうに見えますね。
ご観覧の際は、甲冑の放つ力強さを感じ取ってくだされば幸いです。
学芸員F