昨年から始まりました今治藩にゆかりのある史跡を紹介していく本コーナーですが、今年も少しずつ更新していければ思っております。
よろしくお願い致します。
新年第1弾は、前回の松源院の記事に引き続き、今治藩主久松松平家とゆかりの深い寺院である法華寺を紹介したいと思います。
法華寺は、今治城下北側の寺町に立地する日蓮宗の寺院です。前回紹介した松源院からだと徒歩5分程のところにあります。
法華寺の本堂 |
享保7(1722)年、3代藩主・松平定陳の娘で和泉国(大阪府)伯太藩主・渡辺家に嫁いでいた幾姫が亡くなると、今治藩から幾姫の位牌を安置する寺として指名され、現在に至るまで大事に守り続けています。
※ちなみに幾姫は江戸・麻布の日蓮宗妙善寺に葬られています。
以後、藩主の娘の位牌が安置されている寺として歴代藩主が参拝に訪れたり、供養料が寄進される等、法華寺は今治藩と深い関係を築きました。
歴代藩主やその家族の位牌は、元々今治の松源院や江戸の霊厳寺といった菩提寺に安置されていましたが、松源院の分は明治2(1869)年に廃寺となって別の寺に移された後に火災で焼失し、霊厳寺の分も大正11(1923)年の関東大震災で焼失してしまっています。
以上の理由で久松松平家の古い位牌はほとんど残っていないわけですが、法華寺にある幾姫の位牌はその中でも現存する数少ないものといえるでしょう。
大きさや華やかな装飾からも久松松平家の格式を偲ぶ事が出来る貴重な文化財です。
3代藩主松平定陳の娘の幾姫(法号:秋岸院殿妙窓日円大姉) の位牌。大名家の娘の位牌らしく大振りで装飾も華やかです。 |