こんにちは。
雨が続きますね。
今治城の近くを流れる蒼社川も、土色の水が流れています。
川の水量を調節しているのは玉川ダム。
大雨の日には放水を予告するサイレンが鳴ります。
きょう紹介させていただく玉川近代美術館🔴は、今治城〇から車で約20分。蒼社川沿いの国道317号線を走ると、玉川ダムがある自然豊かな玉川町にあります。
玉川近代美術館のコレクションは、明治以降の日本や海外で活躍した黒田清輝・藤田嗣治や東郷青児、今治出身の野間仁根、東海道五拾三次の歌川広重などを揃えています。
さらに、ゴーギャン・ピカソ・シャガール・アンディウォーホールなどの海外作品もあり、近代洋画の変遷を幅広く観ることができます。(限られた展示スペースに、厳選された作品が展示されています。)
同美術館は、2階建てで5つの展示室と特別展示室があり、特別展示室には、国宝「伊予国奈良原山経塚出土品」が収蔵保管されています。
国宝「伊予国奈良原山経塚出土品」は通常、年に2回、春と秋に限定公開されます。
詳しくは、2018年4月30日の今治城 スタッフブログ【パネル展示 玉川近代美術館 「国宝 春の一般公開」】
をご覧ください。
では、荷物をコインロッカーに預けて身軽になって、ゆっくり鑑賞することにいたしましょう。まずは2階へ。階段を上がって左の展示室は彫塑、右は洋画が展示されていました。
※玉川近代美術館内の写真は、特別に許可をいただいて撮影しております。
吹き抜けの造りになっているので開放感があり、2階から1階の作品を見下ろすことができます。天井が高く天然木なので、圧迫感がなくホッとする空間になっています。
2階から見た1階の休憩所。
「窓から見える景色も一枚の絵画のように」とのコンセプトで作られたそうです。とてもくつろげそうでしたので、1階の作品を観る前に座ってみました。
窓からは豊かな自然と、蒼社川の水の流れを眺めることができます。作品を鑑賞するのを忘れそうになるくらい、しばらく座っていました。
ひと休みできましたので、館蔵品展・徳生コレクションより「水のある風景」を。
館蔵品展「水のある風景」のポスターは、今治城天守入口にある観覧券売場の横にも貼らせていただいてます。
では、現物ホンモノを観ることにいたしましょう。
張り出した2階の床からの照明が、やさしく作品を照らします。
天窓からも、やわらかい光がこぼれていました。
作品の前にも椅子があるので、ゆっくりじっくりと鑑賞できます。
また休憩所でひと休み。
休憩所から出口に進んだ展示室にある「徳生忠常さん物語」(この美術館を寄附された実業家)のパネルを読み進めると、同美術館ができたいきさつがよくわかります。
2013年3月26日今治市玉川近代美術館発行
今治市玉川近代美術館所蔵品名作選の9ページにある
「玉川近代美術館」設計に携わって 松本 莞
の文中で、松本氏が徳生宅を訪ねたときのことを下記のように振り返っています。
「徳生翁の全てを超越した穏やかで柔和、極めて自然体なお人柄に触れ、自ずとこれから計画・設計する美術館の佇(たたず)まい、そのあるべき姿を直感したことを思い出します。つまり、小さいながらも本物であること、虚飾を削ぎ落し、気取りのない品格あるデザインの建物とするイメージが浮かんだのです。」
ここ数ヶ月、感染症予防を気遣いながらの暮らしが続き、心おきなく外出を楽しむのは難しい今日このごろ。設計者・松本氏のイメージ通りの展示空間で、静かにゆっくり過ごすのもいいかもしれません。
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