こんにちは。
先日、職員Mが城内で、このような実を見つけました。
この実、何だかご存知ですか?
こんなふうに、枝の先にあります。
この実が何なのか、わからないまま過ごしておりましたら、ボランティアガイドのTさんがイヌビワだと教えてくださいました。
ビワに比べると不味いことから「イヌビワ」(犬枇杷)の名があると言われています。果樹の名前にイヌとかカラスがついているものは、実が食べられないか、美味しくないのがほとんどです。
【黒く熟したイヌビワは甘く、そのまま食べても、ジャムにしてもお勧めの食べ方です。ただ、熟した実の中には、花粉を運んだイヌビワコバチ(体長1.4~1.7㎜)の死骸が入っています。なぜ、死骸が実の中にあるかは、後ほど。】
調べてみると、イヌビワはイチジク(無花果)の仲間。
それなら、中は種だらけかも…半分に切ってみました。
左は縦に、右は横に切りました。
イヌビワはイチジクのように、実(花のう)の中に花があるので、風によって花粉が運ばれることはありません。
イヌビワの花粉は、イヌビワコバチ🐝という蜂の一種によって運ばれます。
この花粉の運ばれ方が素晴らしくもややこしく、説明が長くて申し訳ないのですが、紹介させてください。
まずは、図をご覧ください。
勝山輝男・著 |
イヌビワは、春に雄株も雌株も枝の先に小さなビワに似た形の実を付けます。
同じ頃、雄株には越冬した大きな実が付いていて、その中でイヌビワコバチ🐝が羽化します。(羽化するといっても、オスには羽がないので飛べません。)
羽がないオス♂は、生まれた実の中で一度も外に出る事なく、交尾をすますと、メス♀のための脱出口を開けて短い一生を終えます。(子孫を残す役割をはたしたあと、力尽きる生物はたくさんいますよね。)
イヌビワの実の中で交尾を終えたメス🐝は、花のうの出口付近で花粉まみれになった体で外に出て、若い花のうを見つけて中に入り込みます。(メス🐝には、雄株と雌株の区別がつきません。)
たまたまもぐり込んだ実が
★雄株なら、産卵に成功し子孫を残すことができます。
★雌株なら、イヌビワの受粉の手助けをしただけで死んでしまいます。
メス🐝が雄株と雌株の区別ができないおかげで、
イヌビワは種子ができますし、イヌビワコバチも子孫を残すことができます。
以上、長くてややこしい説明に最後までお付き合いくださり、ありがとうございました(´▽`)
このイヌビワとイヌビワコバチ🐝の生態を知ることで、城内の植物や昆虫に注目するようになりました。
今治城にいらっしゃることがありましたら、城内の植物たちにも目を向けてみてください。新しい発見があるかもしれません。
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