2020年5月12日火曜日

天守4階の展示替えをしました。(学芸員の仕事 ➃)


こんにちは。


長引く自粛生活を、いかがお過ごしですか。

外出をひかえながらも、必要最小限の外出のときは、みなさんそれぞれに工夫をしたマスクをして注意深く用心しながら出かけられているのではないでしょうか。

100年前にスペイン風邪が流行した当時、感染予防を呼びかけるポスターが作られました。〔国立保健医療科学院図書館所蔵、内務省衛生局編「流行性感冒」1922・3〕





「汽車電車人の中ではマスクせよ。外出の後はウガヒ忘れるな」と書かれています。


布マスクの着用を一般に広めることに力を尽くしたのは、医学者・松本良順(後に順と改名)でした。戦後しばらくして布マスクはガーゼマスクになり、1970年代には不燃布マスクが登場。その後も進化し続けています。
※松本順のドラマチックな人生は、司馬遼太郎の小説『胡蝶の夢』に詳しく書かれ、ドラマ『JIN 仁 』では主人公に協力的な医師として描かれています。


さて、臨時休館している間に天守4階の展示替えをしたので、そのようすを伝えさせて下さい。

まずは、前の展示物を運び出し、空になった展示ケースの中を掃除。仕上げは粘着クリーナー(通称コロコロ)で。






次に、新しく展示する掛け軸を収蔵庫から運び出しました。





展示替えに必要な小道具も、運びます。




武具を置き、角度やバランスを見ます。




掛軸は、左右対称になってるか、上下は水平になっているか、注意しながら展示。










作品の説明文を、学芸員が時間をかけて考えます。






観覧者が展示物を鑑賞する手助けになるように、説明文は読みやすく、わかりやすい表現を心がけます。そして、より深く理解できるように、専門的なことも少し。

推敲(すいこう)した説明文を置く位置や角度は、いろいろ試して決めます。






展示ケースの中からみると、こんなふう。





今治城に限らず、すべての博物館や美術館の学芸員は、所蔵物を大切に保管し、知恵を絞り試行錯誤して展示しています。

そのような施設に訪問されたときに、学芸員の仕事を想像しながら観覧されるのもいいかもしれません。



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