2022年2月3日木曜日

鬼ぐいって何?-節分の風習ー

 こんにちは。


今日は2月3日、節分の日ですね。





みなさんは、今治の節分に欠かせないアイテム「鬼ぐい」をご存知ですか?


実は県外出身の私、つい1週間前に、幕末の今治での節分を紹介した古文書の記事のなかで、「鬼グイ」に出会いました。



「鬼グイ(方言ニシテ多羅)ト塩漬鰯ヲ小サク切リテ、豆柴(方言木葉ニシテ火ニ入ルレハハリハリ云フ)ニ包ミ……」(注1)



「鬼グイ」?と、塩漬けの鰯を小さく切って「豆柴」🐶??に包んで……

な、なんのことか分からん_( _´ω`)_モウダメ


鬼グイとは??豆柴とは?頭にたくさんのはてなマークが浮かびます。


しばらくもんもんとしていましたが、ふとスタッフAに「鬼グイって何なんですかねえ…」ともらしたところ、


「へ?スーパーに売ってるよ?節分コーナーに」と驚きの返しが( ゚Д゚)!!!



それを聞いて、さっそく走りました!スーパーの節分コーナー。


ありました!節分豆にならんで「鬼ぐい 本体価格98円」。



そして買ってきた鬼ぐいがコチラ





スタッフAいわく、今治の節分には欠かせないもので、節分前から魔除けとして玄関近くにつけておくそうです。


ちなみに、下の部分がタラの幹で通称「鬼ぐい」、上の部分がトベラの葉で通称「豆しば」といいますが、

スーパーでは、タラの幹にトベラの葉を挟んだもの=「鬼ぐい」として売られていました。


鬼ぐいには「鰯」も必須アイテムとのこと。


ということで、スタッフAに教えてもらいながら鰯をつけて完成!!



わ、輪ゴムがイワシにめり込んでるううう




さて、これでやっと古文書の話が理解できそうです(*'▽')💕

幕末の今治での節分を見てみましょう。


「鬼グイ(方言ニシテ多羅)ト塩漬鰯ヲ小サク切リテ、豆柴(方言木葉ニシテ火ニ入ルレハハリハリ云フ)ニ包ミ、竹ニ挟ミテ戸口或ハ窓ノ口ニ至ルマテ、指シ置クモノ也」


①鬼グイ(タラの木)と塩漬けの鰯を小さく切ったものを豆柴(トベラの葉)に包み、

②竹に挟み、

③戸口・窓に指しておく。


私がスーパーで買ってきた「鬼ぐい」はタラの幹にトベラの葉のセットを指したものでしたが、古文書に記された「鬼グイ」はタラ(の幹?)の意味で使われています。


そして、タラと鰯を切ったものをトベラの葉に包む。


この方法は、スタッフA直伝の「鬼ぐい」とは異なっていますね。


現在の今治市内でも、私が購入したような「鬼ぐい」(タラの幹とトベラの葉)に、鰯の頭だけくくりつける派、鰯1匹をくくりつける派、はたまた鰯はつけない派など、他にも各家庭でさまざまな鬼ぐいのかたちがあるようです。

学芸員M


(注1)「節分」(『今治郷土史 国府叢書 資料編 近世2(第四巻)』1989年、今治郷土史編さん委員会編、「国府叢書 巻二十三」p1022所収)。

「国府叢書」全65巻は、庄屋加藤家が代々残した今治藩政の数々の史料を基に編集(編纂)したもので、今治市屈指の郷土史資料集です。その編集は、最後の国分村庄屋であった加藤友太郎氏によるものです。藩政の実態や村の生活が解説されています。

今治市立図書館公式ホームページでは、「国府叢書」の原本の高精細画像および翻刻を閲覧することができます。 ⇒ https://trc-adeac.trc.co.jp/WJ11C0/WJJS02U/3820215110