2023年2月20日月曜日

御金櫓の新展示 館蔵品展「水墨画風景 今治の港・海・来島海峡大橋 松本奉山の世界」

こんにちは。


昨日は四国地方で春一番が吹いたそうです

今治地方も午前中に雨交じりの生暖かい強風が吹き、午後は晴れました。

行ったり来たりの天候を繰り返しながら、だんだん春が近づいてくるのですね🌸


今治城の御金櫓では、2月18日(土)から新しい展示を始めました。

館蔵品展「水墨画風景 今治の港・海・来島海峡大橋 松本奉山の世界」です。




今治城の御金櫓には、水墨画家の松本奉山氏(まつもと ほうざん:愛媛県今治市出身)の作品が多数所蔵されています。


本展ではこれらの中から、今治の港、および港から見た海や来島海峡大橋を描いた作品を選抜して展示しています[全14点]。







今治港は、昨年、開港場(外国と貿易ができる港)に指定されてから100周年を迎えました。

これからも地域の要として、新しい歩みを進めていく願いもこの展覧会には込めました。


今治港と今治城 [今治市 港湾漁港課:提供]


また、鑑賞をより楽しんでいただける様に、作品と同様の景色の写真も並べて展示しています[全7点]。


水墨画という芸術を堪能いただくと共に、今治の港をはじめとする今治地域の美しい風景を心に刻んでいただけましたら幸いです。


ぜひご観覧ください。


学芸員F


2023年2月16日木曜日

「服部家文書目録」を公開しました

今治城ホームページのおしらせ欄に設けている「【所蔵資料情報】今治城収蔵品目録の公開」に、「服部家文書」の目録を追加しました。


☞ 【所蔵資料情報】今治城収蔵品目録の公開


服部家文書は、旧今治藩士の服部家に伝来した明治から平成の古文書・記録類・写真218件(308点)です。

服部家は、今治藩初代藩主定房の頃より代々家老を務めました。


幕末期に服部家の当主であった正弘は、維新後に藩主久松松平や士族・町方年寄・庄屋の家譜等を収めた『今治拾遺』を編さんしたことで知られています。


明治27年(1894)「今治拾遺 一之巻」(今治城蔵)
『今治拾遺』は総計50巻に及び、今治藩史研究において重要な史料となっている。


今回、目録を公開した服部家文書には、明治4年(1871)に服部家当主となった服部速水(正宣)の警察官・裁判官在職時の辞令や履歴書、その子績夫の履歴書など近現代の文書が含まれています。


績夫の長女道子氏による平成9年(1997)の谷中霊園(東京都)内服部家墓所の修復工事に関する記録も見られます。


また、幕末から大正時代の漢学者である三島中洲の書簡も含まれています。




明治17年(1884)5月31日「第二期浦和重罪裁判陪席 命令書」(服部家文書22)
陪席とは、陪席裁判官のことで、裁判長以外の裁判官を指す。服部正宣(速水)は陪席として、明治17年11月に起きた埼玉県秩父郡を中心とした農民武装蜂起である秩父事件の裁判に関わった。



若林吉十郎殿御親族中宛三島毅書簡(服部家文書98-4)
三島毅(中洲)の書簡等4点(98-4-1~98-4-4)がおさめられている。



みなさまにご活用いただけますと幸いです。


学芸員M

2023年2月10日金曜日

[展示紹介]山里櫓に展示中の掛け軸

  こんにちは。

 2月もはや10日。まだまだ寒いですが、たまに日中の暖かい日が来るようになった気がします。

 春は少しずつ近づいているようです。

  今治城の山里櫓では、昨年末に一部を展示替えし、新たに掛け軸9件(全10点)を展示しました。




 地元今治出身の日本画家、矢野橋村(やの きょうそん)と山本玉仙(やまもと ぎょくせん)のお二人の作品です。

 10点中9点が矢野橋村[1890~1965年]の作品。大正時代から昭和にかけて大阪を拠点にして活躍した画家です。

 山水画や植物、動物画という幅広い対象の作品を並べています。


 もう一名の山本玉仙[1841~1907年]は、江戸時代末から明治時代に活躍した女性の画家です。

 父は江戸時代後期に今治地域で活躍した著名な画家山本雲渓(やまもと うんけい)です。父は猿などの動物画で有名なのですが、玉仙はその動物画で父に劣らぬ腕前だったようです。

 また、絵画のみならず、生け花、茶道、礼道、盆画盆石など多芸多趣味だったそうです。

 玉仙の作品は、この展示では一点のみですが、面白い絵をピックアップしました。


「寒山拾得」山本玉仙

 「寒山拾得(かんざんじっとく)」という作品です。

寒山(かんざん)と拾得(じっとく)という名の、中国の唐の時代にいたとされる伝説上の人物2名を描いています。

この2名を描く作品は昔から多いのですが、この寒山拾得図は、両者の顔を半分重ねて描き、あたかも一人の顔のように見せています。

 玉仙さんの遊び心がある作品ですね。

 

 これらの作品は、しばらくの間(今年の多くの期間で)展示予定です。

 ぜひご鑑賞ください。


 学芸員F