2023年2月10日金曜日

[展示紹介]山里櫓に展示中の掛け軸

  こんにちは。

 2月もはや10日。まだまだ寒いですが、たまに日中の暖かい日が来るようになった気がします。

 春は少しずつ近づいているようです。

  今治城の山里櫓では、昨年末に一部を展示替えし、新たに掛け軸9件(全10点)を展示しました。




 地元今治出身の日本画家、矢野橋村(やの きょうそん)と山本玉仙(やまもと ぎょくせん)のお二人の作品です。

 10点中9点が矢野橋村[1890~1965年]の作品。大正時代から昭和にかけて大阪を拠点にして活躍した画家です。

 山水画や植物、動物画という幅広い対象の作品を並べています。


 もう一名の山本玉仙[1841~1907年]は、江戸時代末から明治時代に活躍した女性の画家です。

 父は江戸時代後期に今治地域で活躍した著名な画家山本雲渓(やまもと うんけい)です。父は猿などの動物画で有名なのですが、玉仙はその動物画で父に劣らぬ腕前だったようです。

 また、絵画のみならず、生け花、茶道、礼道、盆画盆石など多芸多趣味だったそうです。

 玉仙の作品は、この展示では一点のみですが、面白い絵をピックアップしました。


「寒山拾得」山本玉仙

 「寒山拾得(かんざんじっとく)」という作品です。

寒山(かんざん)と拾得(じっとく)という名の、中国の唐の時代にいたとされる伝説上の人物2名を描いています。

この2名を描く作品は昔から多いのですが、この寒山拾得図は、両者の顔を半分重ねて描き、あたかも一人の顔のように見せています。

 玉仙さんの遊び心がある作品ですね。

 

 これらの作品は、しばらくの間(今年の多くの期間で)展示予定です。

 ぜひご鑑賞ください。


 学芸員F