2024年12月19日木曜日

企画展(秋季)「近所にあるかも!?今治城より古い城」もうすぐ最終日!!

こんにちは。

現在開催中の企画展「近所にあるかも!?今治城より古い城」は、12月22日(日)が最終日です。


会場の風景

昔(特に江戸時代より前の時代)、私たちの周りにはたくさんのお城がありました。

この今治城がある地域でも、例外ではありません。

ただ現在では、城跡にすぐに気づいたり、発見したりすることはとても難しくなっています。今から約400年前の江戸時代以降、これらの城は使われることなく、山野に埋もれてしまっているからです。後世の開発によって無くなってしまったものもあります。

逆に、今治地域唯一の城として、今治城だけが江戸時代に存続しました。その城跡は現在でもはっきりと形に残り、分かりやすい史跡になっています。


画像
床に貼っている大きな航空写真


城跡の場所にマークと数字をポイント。横の表で城跡の名称がわかる。

床面には、現在の今治市域にあったと考えられている城跡を、航空写真の上にポイントしたシートを貼り付けています。

上を歩いても大丈夫なようにしています。

過去に行われた愛媛県の調査では、現在の今治市域には200超!!の城があったとされています(典拠『愛媛県中世城館跡分布調査報告書』愛媛県教育委員会、1987年)。


なぜ、こんなにたくさんの城があったのでしょうか?

どんな城があったのでしょうか?


展示の様子 1


展示の様子 2


“海賊の城” 能島城跡から出土したモノ


今治地域での調査成果を基にして、「城とは何か?」「城の歴史」に迫ります。

この機会に、ぜひご観覧ください!!


学芸員F

2024年11月22日金曜日

多言語表記の展示パネルを設置

 こんにちは😊

 近年、海外から多くの来館者が来てくださるようになり、職員一同大変嬉しく思っています。

そこで今月(11月)から、今治城内の展示ブースの掲示を多言語表記のものに取り換える作業を行ないました。

 日本語の展示タイトルを、英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語という4つの言語にそれぞれ訳しています。

天守閣に続いて、自然科学館も、入口案内及び全ての展示ケースの表記を多言語表記のものと交換しました。また、パネル・デザインも、より明るいものにしてみました。

 たくさんの方に読んでいただけることを願っています。


パネルの取り換え作業

新しく取り換えたパネルの例


2024年6月29日土曜日

今治城にある灯籠や狛犬

 

こんにちは😊


梅雨真っ只中で、湿った天候が続いています。

体調には十分気を付けてお過ごしください。


ところで、今治城跡の登城ルートの両脇には、石造りの灯籠(とうろう)が建っています。


それも2基、3基と。

 




これまでに今治城に来られた方は、気づいた方も居られると思います。

覚えていなくても、必ず視野には入っていたはずです。そのくらい自然な感じで傍に立っています。

 

でも、よくよく考えると、城の登城ルートに灯籠があるのは不思議ではありませんか?

他のお城にはあるのでしょうか?

 

灯籠は、機能としては明かりを取るためのものですが、お寺や神社によく建っています。

日本には古代に仏教の伝来とともに中国から渡来し、当初はお寺の建物の荘厳や装飾用に用いられ、その後、神社や民間にも普及したそうです(日本民具学会編『日本民具辞典』1997年より)。

 

今治城にある灯籠も、実は神社のものです。

というのも、現在の今治城内には吹揚(ふきあげ)神社があります。

城内にある吹揚神社

吹揚神社は江戸時代に今治の城下町や周辺にあった4つの神社を合祀させて、廃城後の明治5年(1872)に城内本丸跡に建立されたものです。


今治城の登城ルートは、実は吹揚神社の参道にもなっています。

吹揚神社はたくさんの神社が集まっているため、元々の神社にあった灯籠などが集まられ、配置されたのだと思われます。

そのため、灯籠も複数ありますし、その他の石造物もたくさんあります。

 

石造物には、建てた人(建立資金を出し、奉納した人)、造った人(石工)の名前や建立した年月を刻んでいることがよくあります。

 

天守の横にある狛犬

例えば、現在の天守の横に狛犬(こまいぬ)がいます。

狛犬はまさに神社のものですよね。

その台座には「魚問屋」「魚仲買(売?)」と刻まれています。

魚を扱う商人達が奉納したようです。

向かって右側の狛犬

「魚問屋」※横書きは右から左へ書いている。

向かって左側の狛犬

「魚仲買(売?)」

建立時期は「安政六年」=1859年で、江戸時代末期の幕末の頃です。

「安政六未」=安政6年・ひつじ年=1859年

魚を扱う商人たちが建立。

江戸時代から港町だった今治らしい石造物です。

 

学芸員F

 

2024年5月17日金曜日

企画展「くずし字を読みたい!―江戸時代の村と古文書―」もうすぐ最終日!!

こんにちは。

現在開催中の企画展は、5月19日(日)が最終日です。

古文書とくずし字に少しでも親しんでもらいたい!!との思いで企画しています。


最初に、江戸時代の代官所で使われていた帳面の入れ物を展示。

これくらいの容器が必要なほどの量の文書を、当時の仕事で使っていたことがわかります。


縦55㎝、幅143㎝、高さ59㎝の木箱です


江戸時代は「文字社会」でした。

今も昔も社会にとって大事な「納税」について、江戸時代の納税にあたる年貢の納入に関わる文書を紹介。

村の年貢の内訳を記した文書


また、「現在の戸籍を移す」行為の江戸時代版である「宗門請手形」という古文書も。

結婚のために移住する時に作成された「宗門請手形」


古文書の紹介に続いては、実際にくずし字を読んでみよう!!ということで、


古文書の文字の解読クイズや、源氏物語の和歌のひらがなを当てる「ひらがなパズル」があります。



パズルの一面にはくずし字の画像。その裏にはくずし字の元の字(ひらがな・漢字)。


くずし字を解読するための便利なアイテムとして、くずし字の辞典の使い方を解説。

赤い箱の辞書は“くずし字”の世界で最も使用されているといってよい「くずし字用例辞典」


最後に、くずし字や古文書学習の先輩たちから、勉強法やメッセージなどを寄せていただいた内容を掲示。くずし字に取り組む上でのヒントが詰まっています。

こちらでご紹介しています。クリックしてください↓

今治城 スタッフブログ: 噛めば噛むほど味わい深い?!古文書・くずし字アンケート結果


古文書を解読できると、昔の生活の様子、人の感性をたくさん知ることができて、とても面白いです。

そして、今の生活や社会を顧みることにもつながってきます。

ぜひ、古文書・くずし字の世界の扉を叩いてみてください!!


学芸員F

2024年4月6日土曜日

ふきあげ姫をよろしくお願いします。

 この度、今治城のオリジナルキャラクターが誕生しました。


その名も「ふきあげ姫」





天守を眺められる吹揚神社(今治城本丸跡)の境内に住みついた梅の妖精で、


かんざしは今治城を築城した藤堂高虎出世の白餅、


梅の髪飾りと着物は今治のお殿様久松松平家の家紋「星梅鉢紋」がモチーフの今治城主リスペクトなコーデできめています。






好きなものは、今治城とお団子、高虎の兜をかぶったバリィさんで、


イヨノ助侍がお友達です。




チャームポイントはお団子のようにもちもちでまあるいほっぺ。


可愛らしい「ふきあげ姫」をこれからどうぞよろしくお願いします。




ふきあげ姫の誕生を記念して今治城オリジナルシールを販売中です。


高虎バリィさん、イヨノ助侍、ふきあげ姫の3種のシールが1シートになっています。






お気に入りのモノに貼るもよし、そのまま飾るもよし、のデザインです。


せひふきあげ姫シールをお迎えしてくださいね。


M






2024年3月29日金曜日

噛めば噛むほど味わい深い?!古文書・くずし字アンケート結果

 展示解説会をききにきてくださった方の「古文書を読めたらもっとおもしろいんだろうな・・・」というつぶやきや、


「古文書の入門的なことを教えてほしいのよ」というガイドさん


そんなご要望にこたえて3月4日から、企画展「くずし字を読みたい!ー江戸時代の村と古文書ー」を今治城の山里櫓で開催しています。






本展は、ヒントを手がかりに江戸時代の村の文書を解読するコーナーやくずし字辞典の体験コーナー、ひらがなパズルなど古文書・くずし字の入門の助けになるような展示にしています。


構成は以下のとおり


1江戸時代の村と文書―文字を使う社会へ―

2どんな文書があるの?

3古文書解読に挑戦

4「源氏物語」広まったのは江戸時代―ひらがなパズル―

5もっと読めるようになりたいーくずし字辞典、古文書学習の先輩たちの勉強法ー



担当学芸員お手製の「ひらがなパズル」




くずし字辞典を使ってみようコーナー



5の「古文書学習の先輩たちの勉強法」コーナーは、事前に実施した「くずし字、古文書解読の学習に関するアンケート」(2024年1月29日~2月12日にGoogleフォームでで実施。)をもとにしています。


アンケートでは35人の「先輩たち(アンケートの対象:くずし字が読める方)」から、ためになるものやクスッと笑ってしまうものまで様々な回答が寄せられました。


ここではその一部をご紹介します。




Q どのくらいの期間でくずし字が読めると感じるようになりましたか?




アンケートの対象者とした「くずし字が読める方」もそうですが、この質問は「読める」とはどのような状態かをあえて具体的に指定しませんでした。


その結果、この他の質問で回答してもらった「くずし字の解読歴」と照らし合わせると、7年以上のベテラン勢20人が「読めるようになったと感じた」のは、5年以上と回答した人が最多の6人となりました。(5年以上・・・6名、4年以上5年未満・・・3名、3年以上4年未満・・・5名、2年以上3年未満・・・2名、1年以上2年未満・・・3名、1年未満・・・1名)


全体の回答で最多だったのは1年以上2年未満の37%ですから、どうやらくずし字解読歴がながくなるほど「読める」と感じるまでの年数が伸びる傾向にあるようです。


最初の数年の「読める」段階から、さらに年数を重ねた「読める」へ。


古文書・くずし字は奥が深いようです。



このことを補足できそうな回答が以下の質問でみられました。



Q くずし字がよめるようになって良かったことがあればお教えください。

Q これからくずし字を勉強する人へメッセージをお願いします。


この回答では、くずし字を読み始めて数年の方はくずし字を読めてうれしい!という、これまでよくわからなかった文字の形が分かるようになり、文字そのものが読めてうれしい、といった気持ちを共有していただきました。


そして、くずし字解読歴が長くなっていくと、


手紙や日記を読んで「過去を生きた人と直接つながれるような感覚」


「その内容を理解して、当時の人たちの気持ちがわかったような気持ち」


「先人の生き方や思いに触れて、自分自身を見直すことが、よくあります。」


といった古文書の内容を味わう楽しさを教えていただきました。


長年かけて噛めば噛むほど味がでてくる古文書……


古文書入門者の方やこれから勉強を始める方は、ぜひこの様々な楽しさとの出会いを楽しみに学習していってください。



アンケートでは、おすすめの勉強法などについても質問しました。


以下は展示室に掲示しているパネルです。


くずし字学習の先輩たちのメッセージをぜひご覧ください。











 












企画展は5月19日まで開催中です。


会期中にぜひご来館ください。


学芸員M





2024年3月15日金曜日

古文書を保存する、修復する、活用するーにじの会研修会ー

 3月13日、14日に今治市の学芸員の勉強会「にじの会」🌈が開催されました。






毎年恒例の研修会。


今年度は、紙資料(古文書など)の保存や修復がご専門の元興寺文化財研究所の金山正子先生にお越しいただきました。



1日目は、まず座学で紙資料の修復に関する基本的な考え方や事例を学び、



後半部分では各館の収蔵庫にあわせた環境管理の仕方について先生の意見をうかがったり、今治城と村上海賊ミュージアムの収蔵資料を実際に先生にみてもらいどのような修復ができるか、今後どのような環境で保管しておくべきかといったことを教えていただきしました。



「修復できるでしょうか…?」



経年劣化により継目が外れた古文書





2日目は実習。


練習用に穴をあけた和紙で「手繕い」の練習をしました。


虫害などにより古文書あいた穴を修復する際に使われる技法です。



和紙を穴の形にあわせてちぎったもの(ちぎるのが慣れるまでは難しい!)に小麦澱粉糊をぬり、






穴に貼り付けていきます。






また「投げ裏打ち」という修復技法も体験。






(「投げ裏打ち」の体験の様子は、今治城公式Xに動画あげています。3月14日のポスト)




そして最後に「紙縒り(こより)」づくり。


紙縒りは、細く切った和紙をひねってひも状にしたもの。


冊子体の古文書のとじ紐としてよく使われます。







うまくできた?



つくった紙縒りはこのように帳面の綴り紐になります。








完成!




紙資料の保存や修復について多くの知識と気付きを得た研修会でした。


今後の各館収蔵品の保存・活用にしっかりと役立てていきます!


学芸員M


関連記事(前年度のにじの会研修会は刀剣)⇒ 今治城 スタッフブログ: 甲冑がよりかっこよく!