こんにちは。
現在開催中の企画展「江戸時代 のぞいてみよう! お侍さんの仕事」は、今週末の12月19日(日)が最終日です。
(´;ω;`)ウッ…
見どころ紹介は、今回が最終回になります。
※前回までの見どころ紹介は以下をクリックしてください。
今回は、お侍さん(武士)が働いている時に、実際に持っていたモノ、使用していたモノをご紹介します。
武士は、本来は軍事を担当する身分の人たちでした。
しかし江戸時代では、社会の統治も武士が担当し、結果的に戦いがほとんど無い時代だったので、武士の仕事は今の公務員のような行政職が主になりました。
そんな仕事内容をほうふつとさせるものを展示しています。
参勤交代で、将軍のおひざ元の江戸(現在の東京)に滞在していた武士が持っていたメモ帳です。
資料名:政務関係留帳 |
大きさは、縦6.5㎝、横16.5㎝でとても小さいです。
常に携帯し、メモしたり、内容を確認したりしていたのでしょうか。
「江戸城に藩主(自分の殿様)が出仕する時に足袋を着用させてほしいお願いをした」など、当時のしきたりがうかがえる興味深い内容が書かれています。
また、当時の武士の役職の一つに、記録を取ったり文書の下書きをする「書役(かきやく)」や、清書をする「右筆(ゆうひつ)」がありました。
右筆の人たちが使っていた参考書の一つも展示しています。
資料名:武鑑 |
これは「武鑑(ぶかん)」といって、大名や幕府の役人の名鑑です。
仕事上、必要な情報だったのでしょう。
そして、珍しいモノが今治藩士の家に伝わっていました。
江戸幕府の将軍だった第14代:徳川家茂(とくがわ いえもち)の文書の原本です。
ホンモノですΣ(・□・;)
立派な大きな紙に書かれています。
なぜ、一地方の普通の武士の家に、全国の武士の頂点に立つ将軍の文書が伝わったのでしょうか?
この文書は、将軍家茂から当時の今治藩主だった松平勝道(9代藩主)に宛てて、献上された衣服の返礼を述べたものです。
そして、この文書を伝えた藩士は、当時、今治藩で「書役」の職を勤めていました。
おそらくこの文書は、幕府と今治藩との間でやり取りされた公式のものとして取り扱われ、「書役」の一員だった藩士が、仕事上の都合で手元に置いていて、そのまま、その藩士の家に保管されたままになったのかもしれません。
「書役」という役職だった故に起こった、面白い伝来の仕方だと思われます。
以上、全4回にわたって企画展「江戸時代 のぞいてみよう! お侍さんの仕事」の見どころを紹介してきました。
関心を持っていただけましたら幸いです。
会期は残り僅かですが、ぜひご来城、ご観覧ください。
よろしくお願いいたします。
学芸員T.F